町なかを用水が流れ、山あいには合掌造りの集落。標高が上がるほど空気が涼しくなる岐阜は、まだ暑い8月末〜9月にこそ気持ちいい行き先です。2歳の「水さわりたい」を、思いきり満たしてあげられる旅。
岐阜の町を歩いていて、まず気づくのは音です。郡上八幡では、家々のあいだを細い用水路が走っていて、道を曲がるたびに水の流れる音がついてくる。真夏でも足を浸すと冷たくて、子どもは一度しゃがみこんだらなかなか立ち上がりません。夕方になると、どこからともなく下駄の音と三味線。町の広場で郡上おどりが始まります。
北へ車を走らせれば、高山の古い町並み。黒い格子の家が並ぶ細い通りは車が入ってこないので、2歳が手を離してもひやっとしません。みたらし団子を一本持たせれば、それだけで機嫌よく歩いてくれる。さらに山を越えると白川郷、稲が色づきはじめた田んぼの向こうに、あの三角屋根が並んでいます。
海のリゾートとは違う、川と山と、湯の旅。9月の岐阜は日中でも高原なら25℃前後、朝晩は少し肌寒いくらい。「暑くて動けない」がない季節の、ちょうどいい2泊です。
8月末〜9月は「岐阜のいいとこ取り」の時期です。理由は3つ。①郡上おどりは例年7月中旬から9月上旬まで続く長丁場で、8月13〜16日の徹夜おどりを過ぎた8月下旬〜9月頭は人出が落ち着き、見物も踊り参加もぐっとラク。②長良川の鵜飼は例年5月11日〜10月15日の開催で、9月は日没が早まるぶん開始時刻が早く、2歳の就寝時間に間に合いやすい。③高山(標高約570m)やひるがの高原(標高約900m)は平地より数℃涼しく、残暑でも屋外を歩ける。加えて白川郷は稲が黄金色になる時期で、写真がいちばんきれいに撮れます。夏休みのピークを外せるので、宿代も少し落ち着きます。
町そのものが遊び場になるプラン。郡上八幡は「水の町」と呼ばれるほど用水路と湧き水が生活に入り込んでいて、2歳が飽きません。移動距離が短く、拠点をひとつに決めて2泊できるのが最大の利点です。
東京から新幹線で名古屋(約1時間40分)、名古屋でレンタカーを借りて東海北陸道を北へ(約1時間半)。昼寝の時間帯に高速に乗ると、そのまま車で寝てくれます。
民家の裏を流れる用水沿いの、幅1mほどの小道。水中には鯉やアマゴが泳ぎ、住民が野菜を洗う洗い場が今も現役です。すぐ近くの宗祇水は環境省「名水百選」の第1号に選ばれた湧き水。何ができる?=水路に手をひたす、鯉をさがす、湧き水を汲んで飲む。

400年以上続く盆踊り。町の広場や通りに屋台(やかた)が出て、その周りを輪になって踊ります。特徴は見るだけでなく、誰でも輪に入って踊っていいこと。何ができる?=下駄の音を聞く、抱っこのまま輪に入って一緒に揺れる、屋台の提灯を見上げる。

八幡山の山頂に建つ、日本最古の木造再建天守(1933年再建)。木の階段と床がそのまま残っていて、上がるとぎしぎし鳴ります。最上階からは、川と屋根が入り組んだ城下町が一望。何ができる?=天守にのぼる、城下町の全景を見下ろす、山道でどんぐりや虫をさがす。
郡上八幡は食品サンプル発祥の地。ろうを使って天ぷらやレタスを作る体験工房が町に何軒もあります(車で約5分)。何ができる?=溶けたろうを湯に落として天ぷらの形にする、レタスを巻く。作ったものはそのまま持ち帰れます。
郡上八幡から車で約40分、標高約900mの高原(東海北陸道ひるがの高原SIC至近)。牧歌の里では羊・ヤギ・アルパカへのえさやり、花畑の散策、乗馬体験ができます。近くの分水嶺公園は、一本の湧き水が日本海側と太平洋側に分かれる珍しい場所。何ができる?=動物にえさをやる、広い芝生を走る、ソフトクリームを食べる。
人の少ない朝の水路をもう一度歩いて、鮎の甘露煮や明宝ハムを買って出発。名古屋まで車で約1時間半、そこから新幹線で帰路に。
💰 圧縮のコツ:おどりも水路さんぽも無料なので、削るなら宿と移動。ぷらっとこだま等の割引きっぷや、名古屋発着のレンタカー付きプランで1〜2万円下がります。2歳は新幹線・多くの施設で無料。※料金は時期・曜日で大きく変動します。
「岐阜といえば」の2大名所をまとめて回るプラン。高山を拠点に2泊し、1日だけ白川郷へ日帰りします。町並みは歩行者中心で車の心配が少なく、食べ歩きの店が多いので2歳の機嫌が保ちやすいのが利点です。
新幹線で名古屋へ(約1時間40分)、特急ひだに乗り換えて高山まで約2時間20分。ひだは飛騨川沿いを走るので車窓が渓谷続きで、子どもも飽きにくい区間です。

江戸から明治にかけての商家が残る保存地区。黒い格子戸の町家が並び、造り酒屋の軒先には杉玉。何ができる?=みたらし団子・飛騨牛の握り・五平餅の食べ歩き、さるぼぼ(飛騨の人形)探し、酒蔵の見学。

江戸幕府が飛騨を直轄支配するために置いた役所で、全国で唯一、当時の建物が残る陣屋。畳敷きの広間、台所、御白洲(裁きの場)まで見られます。古い町並みから徒歩約5分。何ができる?=広い畳の間をはだしで歩く、庭を眺める、米蔵の巨大な梁を見上げる。

宮川の川沿いに、朝7時ごろから露店が並びます。地元の農家が持ち寄る野菜・漬物・果物、さるぼぼなどの民芸品。何ができる?=焼きたてのみたらし団子を食べる、りんごや桃を買う、店の人と話す。
高山から車で約50分(東海北陸道経由)。急勾配の茅葺き屋根=合掌造りの家屋が100棟以上残る集落で、いまも人が暮らしています。何ができる?=荻町城跡展望台から集落を一望、公開民家(和田家など)の内部で囲炉裏と屋根裏を見学、田んぼのあぜ道さんぽ。9月は稲が黄色く色づいて、集落がいちばん絵になる時期。
昼寝は帰りの車で。夕方は高山の飲食店で飛騨牛を。座敷のある店を選べば、2歳が横になって休めます。
チェックアウト前にもう一度朝市へ寄って、特急ひだで名古屋、新幹線で帰京。移動が長いぶん、最終日は予定を入れないのがコツ。
💰 圧縮のコツ:白川郷は高山濃飛バスセンターから直行の高速バス(片道約50分)が出ているので、レンタカーを借りずバスにすれば1万円ほど下がります。宿を駅前ビジネスホテルにすればさらに1〜2万円減。※料金・ダイヤは時期で変動します。
岐阜市で1400年続く長良川の鵜飼を見て、翌日は下呂温泉でゆっくり。運転をしたくない家族向けに、電車だけで組めるプランです。夜の見どころが1つあるぶん、日中はゆるくできます。
新幹線で名古屋(約1時間40分)、JR快速で岐阜まで約20分。昼過ぎには着けるので、初日から動けます。

織田信長の居城として知られる山城。ふもとの岐阜公園からロープウェー約4分で山頂へ上がれます。天守からは濃尾平野と長良川が一望。何ができる?=ロープウェーに乗る、天守から川を見下ろす、山頂のリス村でリスにえさやり。

1300年以上続く漁法。宮内庁式部職の鵜匠が、かがり火を焚いた舟で12羽ほどの鵜を操り、鮎を獲ります。観覧船に乗って川面から間近に見るのが定番。例年5月11日〜10月15日の開催。何ができる?=船に乗る、かがり火を見る、最後の総がらみ(6艘が横一列で追い込む場面)を見る。
特急ひだで飛騨川をさかのぼります。車窓は渓谷とダム湖の連続で、乗っているだけで楽しい区間。

白川郷・五箇山から移築した合掌造り家屋10棟が並ぶ野外博物館。温泉街から徒歩圏(下呂駅から約20分/バスあり)。何ができる?=合掌造りの中に入る、陶器の絵付けや和紙すきの体験、全長175mの森の滑り台で滑る。
飛騨川ぞいの温泉街。無料の足湯が街なかに10か所ほど点在し、手ぬぐいを持って湯めぐりするのが定番です。何ができる?=足湯をはしごする、温泉たまごを作る、川べりで石を投げる。
朝風呂に入ってから特急ひだで名古屋へ(約1時間40分)。名古屋で少し時間を取って昼食を済ませると、新幹線が快適です。
💰 圧縮のコツ:鵜飼を河原から無料観覧にすると0.7万円減。温泉旅館は「1泊2食つき」より素泊まり+温泉街で夕食のほうが、2歳の食事ペースにも合って安く済みます。※料金は時期・曜日で大きく変動します。
8月末〜9月頭は、郡上おどりがまだ続いていて人出は落ち着く、いちばんおいしいタイミング。町なかの水路で遊んで、夜は踊りの輪に抱っこのまま混ざる——2歳が主役になれる時間がいちばん多いのがAです。名所をしっかり見たいなら「B・高山と白川郷」、運転せず温泉でゆっくりしたいなら「C・鵜飼と下呂」。どれも移動は片道半日以内で、2泊にちょうど収まります。