羽田からたった1時間。山が色づき、新米が炊きあがり、温泉がいちばん気持ちいい季節。人が多すぎないから、2歳連れでもゆっくり歩ける——それが秋の秋田です。
秋田って、行こうと思わないと行かない場所かもしれません。でも羽田から飛行機で1時間ちょっと。着いてしまえば、そこは山と湖と温泉の国です。
10月の秋田は、色が濃い。山のてっぺんから紅葉が下りてきて、乳頭温泉の木々が赤くなるころ、田んぼは刈り取りを終えて金色。露天風呂の湯気の向こうにブナの黄色が揺れていて、2歳が「はっぱ、きいろ!」と指をさす。そういう景色が、観光地の混雑なしで待っています。
食べものも、この時期がいちばん。炊きたてのあきたこまち、比内地鶏のきりたんぽ鍋、いぶりがっこ。子どもは白いごはんとお味噌汁で大満足だし、大人は日本酒。夜は早めに温泉に入って、布団を並べて眠る。派手さはないけれど、家族3人の秋の記憶としては、これ以上ないくらい上等だと思うのです。
紅葉が「山から里へ」降りてくるのが10月。乳頭温泉郷・八幡平あたりが10月上〜中旬、十和田湖が10月中〜下旬、抱返り渓谷と角館は10月下旬〜11月上旬——1〜2週間ずらすだけで見ごろの場所が変わるので、狙いどころが広いのが秋田の秋です。気候も日中18℃前後・湿度低めで、夏の暑さも冬の雪もない、いちばん歩きやすい時期。さらに新米あきたこまちの収穫期で、きりたんぽ鍋も本番に入ります。夏休みと年末年始のあいだで航空券も宿も比較的とりやすいのも、この時期の地味に大きな利点です。
秋田空港から車で1時間の圏内に、武家屋敷の町・日本一深い湖・秘湯の温泉郷がぎゅっと集まっています。1日1〜2か所、車で30〜60分ずつの移動なら、2歳のお昼寝リズムを崩さずに回せます。秋の秋田をはじめて味わうなら、まずここ。
羽田から約1時間5分。空港でレンタカーを借りて角館へ(車で約1時間)。飛行機の時間が短いので、午前便なら昼には町歩きを始められます。

「みちのくの小京都」と呼ばれる城下町。約400mにわたって黒板塀と重厚な門が続き、屋敷のなかには公開されているものも(青柳家・石黒家など)。何ができる?=通りをそのまま歩くだけで絵になり、庭のモミジやイチョウが色づくのが10月下旬から。人力車に乗ることもできます。桜の季節ほど混まないので、秋は本当にゆったり。
角館から車で約1時間、標高を上げていくと空気がひんやり。宿に着いたら、明るいうちに露天風呂へ。夕食は早めの時間を選んでおくと2歳の就寝リズムが崩れません。

水深423m、日本でいちばん深い湖。深いぶん水の色が独特で、岸辺は透きとおったエメラルド、沖にいくほど濃い瑠璃色に変わります。何ができる?=湖畔の砂浜で水にさわる、金色に光るたつこ像を見に行く、季節運航の遊覧船(1周40分ほど)に乗る。湖岸道路を1周すると約20km・40分のドライブで、車窓がずっと紅葉です。
ブナの森のなかに7つの宿が点在する温泉郷。それぞれ源泉も湯の色も違い、白濁の湯、鉄分で赤茶けた湯などバラエティ豊か。何ができる?=宿泊者向けの「湯めぐり帖」で他の宿の湯を訪ねる、茅葺きの本陣が残る鶴の湯を見学がてら日帰り入浴、宿のまわりのブナ林を散歩。紅葉のピークは10月上〜中旬です。

「東北の耶馬渓」と呼ばれる渓谷。エメラルドグリーンの川面に朱塗りの吊り橋神の岩橋が架かり、遊歩道を30分ほど歩くと落差30mの回顧(みかえり)の滝に着きます。何ができる?=吊り橋を渡る(ゆらゆら揺れるのが子どもには大冒険)、川の色を上からのぞく、トンネルを通り抜ける。紅葉は10月下旬〜11月上旬。乳頭・田沢湖から車で約40分、ここから秋田空港までは車で約1時間です。
空港でおみやげ(稲庭うどん、いぶりがっこ、バター餅)を。フライトが1時間なので、夕方便でも帰宅は早めです。
💰 予算めやす:2歳は航空券が膝上なら無料、宿も「添い寝無料」プランが多く、実質大人2名分で組めます。圧縮のコツは、①航空券を早割(75日前など)で押さえる、②2泊のうち1泊だけ温泉旅館・1泊は素泊まり系にする、③レンタカーは軽〜コンパクトで十分。紅葉ピークの週末は宿が高騰&満室になりやすいので、平日1泊を含めると一気に楽になります。金額は時期・曜日で大きく変動します。
「山より、動物と海がいい」という家族に。動物園・水族館という2歳が確実に喜ぶ場所を軸にしつつ、大人はなまはげと日本海の絶景を楽しむ組み立てです。秋田市を拠点にすれば移動もコンパクト。
フライト約1時間5分+空港から市内へ車で約30分。荷物を置いてから午後の予定へ。
丘の上の市営動物園。キリン・ライオン・アムールトラ・ゾウなど約100種が暮らし、小動物とふれあえるコーナーや、園内をめぐる遊具エリアもあります。何ができる?=動物観察、ふれあい、芝生でひと休み。秋は暑さがやわらいで動物たちがよく動く季節で、夏より見ごたえがあります。

日本海に面した崖の上に建つ水族館(秋田市から車で約1時間)。ガラス張りの大水槽の向こうにそのまま海がひろがる造りで、天気がいい日は水槽と本物の日本海が重なって見えます。何ができる?=ホッキョクグマとごたいめん、アザラシ・ペンギン・アシカの観察、秋田の県魚ハタハタの展示、ダイバーによる給餌解説。
男鹿半島の北端、芝生の草原がそのまま断崖になって日本海に落ちる岬(水族館から車で約15分)。白黒しま模様の灯台が立ち、北緯40度線のモニュメントも。何ができる?=草原を思いきり走る、灯台を見上げる、食事処で石焼き料理(熱した石を桶に入れて一気に沸かす豪快な魚汁)を実演で見ながら食べる。
入道崎から車で約30分。ユネスコ無形文化遺産にも登録された「男鹿のナマハゲ」を伝える施設で、集落ごとに顔の違う150体以上のなまはげ面がずらりと並ぶ展示室は壮観です。隣の男鹿真山伝承館では、大晦日の家々を訪ねる行事を、古民家の座敷で目の前で再現してくれます(通年上演)。何ができる?=面の見学、なまはげ衣装の試着、実演の見学。

半島北岸の温泉地。宿の夕食は日本海の海の幸が中心で、秋は脂ののった魚が並びます。夜にはなまはげ立ちなまはげ太鼓のライブが行われる日も(時期・曜日限定)。何ができる?=温泉、海の幸、太鼓の見物。
草に覆われたなだらかな山(標高355m)の上に立つ、床がゆっくり回転する展望台。晴れれば日本海・八郎潟の干拓地・鳥海山まで360度。何ができる?=13分で1周する床の上から景色を眺める、山頂の芝生を歩く。ここから秋田空港までは車で約1時間15分です。
💰 予算めやす:1泊目を秋田市のシティホテルにすると宿代が抑えられ、A案より1〜2万円ほど軽くなります。動物園・水族館とも未就学児は無料なので、入場料の負担はほぼ大人2名分だけ。金額は時期・曜日で変動します。
秋田県の北部・大館エリアへ。羽田から大館能代空港まで約1時間15分で、着いた先には本場の秋田犬と、10月中旬に見ごろを迎える十和田湖があります。ややマニアックですが、「行ったことある人が少ない」満足感はいちばん。
フライト約1時間15分。空港から大館市街までは車で約40分。便数が少ないので、往復の時間をまず押さえてから行程を組むのがコツです。

大館駅前の、渋谷の旧駅舎を模した建物。秋田犬展示室ではガラス越しに本物の秋田犬がのんびり過ごしていて、時間帯によっては数頭が交代で登場します。ハチ公の資料展示や、秋田犬グッズの売店も。何ができる?=秋田犬の観察、記念撮影、おみやげ探し。
日本三大地鶏の比内地鶏と、つぶしたごはんを棒に巻いて焼いた「きりたんぽ」を鍋に。10月は新米ときりたんぽの季節が重なる、まさに旬。

大館から車で約40分。明治43年(1910年)に鉱山の厚生施設として建てられた、現役の芝居小屋(国の重要文化財)。外観は洋風、中に入ると畳敷きの升席という不思議な建物です。何ができる?=舞台裏の見学ツアーで、人力で回す回り舞台の地下(奈落)やすっぽん(せり)を見学、常打芝居の観劇も。隣接の小坂鉄道レールパークでは、本物の車両やレールバイクに乗れます。

小坂から車で約1時間、十和田湖を一望する秋田側の展望台。標高631mから見おろすカルデラ湖と、周囲の山を埋める紅葉(見ごろ10月中〜下旬)は圧巻です。そのまま湖畔に降りて、宿とみやげ物店が集まる休屋へ。何ができる?=展望台からの眺め、湖畔の砂利浜で水にさわる、遊覧船(休屋発、所要約50分)。

休屋から遊歩道を10分ほど歩いた湖畔に立つ、高村光太郎の最後の作品。2体の裸像が向かい合う姿は、湖と紅葉を背景にすると絵はがきそのもの。途中に十和田神社があり、杉並木の参道が静かです。何ができる?=朝の静かな湖畔さんぽ、像の見学、水辺で石ひろい。
💰 予算めやす:大館能代空港は便数が少ないぶん割引運賃が残っていることがある一方、時間の自由度は下がります。秋田新幹線+在来線という手もありますが、乗り継ぎが増えるので2歳連れなら空路+レンタカーが現実的。紅葉ピークの十和田湖畔は宿が埋まりやすいので、早めの予約を。金額は時期・曜日で変動します。
10月の秋田でいちばん贅沢なのは、紅葉のブナ林に囲まれた露天風呂です。A案は移動が1日1時間以内におさまり、午後を宿で過ごす日をつくれるので、2歳連れでも消耗しません。雨でも確実に楽しみたいならB案(動物園と水族館が主役)、紅葉のピークを狙い撃ちしたいならC案(十和田湖は10月中〜下旬)。どの案も、行くなら新米ときりたんぽが始まる10月がベストです。