羽田から1時間20分。日本一の砂丘、みずみずしい二十世紀梨、妖怪がずらりと並ぶ商店街。秋の鳥取は、2歳が「わあ」と声を出す景色でできています。
坂をのぼりきった瞬間、視界がまるごと砂になる。「馬の背」と呼ばれる高さ約47mの丘に立つと、目の前は日本海。風がすうっと通って、そこだけ音が遠くなります。2歳が裸足で駆け出して、すぐ転んで、砂まみれで笑う——たぶんそういう写真が、この旅でいちばん残ります。
鳥取は「遠そうで、じつは近い」県です。羽田からたった1時間20分。空港の名前は鳥取砂丘コナン空港と米子鬼太郎空港で、着いた時点でもう楽しい。県内は端から端まで車で2時間ほどなので、レンタカーを借りれば1日2時間以内の移動でぜんぶ回れます。
そして秋は、鳥取がいちばんおいしい季節。畑では二十世紀梨がとれ、道の駅には新米と柿が並び、日本海では白いかが揚がります。夏の砂丘は砂の表面が熱くて子連れにはつらいけれど、9月をすぎれば裸足でも歩ける。「行くなら秋」に、はっきり理由がある行き先です。
① 砂丘が歩ける:真夏の砂丘は砂の表面温度が上がり、素足だと火傷しかねないほど。9〜10月は暑さがゆるみ、風も心地よく、2歳が裸足で遊べる数少ないシーズンです。
② 二十世紀梨が旬:鳥取名物の二十世紀梨は9月上旬〜10月上旬がまさに最盛期。梨狩り(食べ放題)ができるのもこの時期だけ。
③ 花と紅葉のあいだ:とっとり花回廊はダリア・コスモスが9〜10月に見ごろ。大山の紅葉は10月下旬〜11月上旬にはじまり、山肌が色づきはじめます。
④ すいている:夏休みと年末のあいだで、宿も航空券も比較的おだやか。人気の松葉ガニ解禁(11月)より前なので、宿代が上がりきる前に行けます。
鳥取市を拠点に、東側(鳥取砂丘〜浦富海岸)だけをゆっくり回るプラン。宿を2泊とも同じにできるので荷ほどきは1回だけ。移動はどこも車で30分以内、子連れにいちばんラクな組み立てです。
ANAの直行便で約1時間20分。到着ロビーはコナン一色で、着いたとたんに旅がはじまります。空港でレンタカーを借りて出発(空港内・隣接のカウンターで受け取り可)。

日本最古級の恋物語「因幡の白兎」の舞台。参道には白いうさぎの石像がずらりと並び、境内のあちこちにもうさぎ。何ができる?=うさぎ探し、参拝、道の駅でソフトクリーム。道路をはさんだ向かいは白兎海岸で、砂浜まで下りれば波打ちぎわで貝殻拾いができます。(空港から車で約20分)

東西16km・南北2kmにおよぶ日本最大級の砂丘。何ができる?=ラクダに乗る/ラクダと記念撮影、砂の斜面を転がる、裸足で歩く、砂の模様(風紋)さがし。名物の「馬の背」は高さ約47mの砂の丘で、のぼりきると視界いっぱいに日本海が広がります。急な砂の斜面がしんどければ、ふもとの平らなエリアで砂遊びをするだけでも十分楽しい。砂丘リフトで入口の坂を省略できます。
世界唯一の「砂像」専門の屋内美術館。世界中の彫刻家が毎年テーマを決めて集まり、砂と水だけで数メートル級の作品をつくります。何ができる?=見上げるほど大きな砂の彫刻をぐるっと1周、2階からの見下ろし鑑賞、屋外の展望広場から砂丘を一望。砂丘から徒歩すぐ(車で3分)。
砂丘から車で約10分の、広大な児童遊園。何ができる?=アスレチック、大型すべり台、ミニ列車やゴーカートなどの乗り物、芝生広場でごろごろ。屋内の工作コーナーもあり、雨でも遊べます。お昼寝のあとの「あと1か所」にちょうどいい規模。
砂丘から東へ車で約30分。透明度25mともいわれる澄んだ海に、松の生えた奇岩や洞門が連なる「山陰の松島」。何ができる?=遊覧船(約40分)で洞門をくぐる、船から岩と海を眺める、小型の観光船なら岩のすきまギリギリまで接近。船が苦手なら、展望所から見下ろすだけでも十分きれいです。
市街地で海鮮丼か牛骨ラーメンを食べて、空港へ(浦富海岸から車で約45分)。空港でおみやげの梨や砂丘らっきょうを買って帰ります。
💰 圧縮のコツ:航空券はANAの早割(55日前・75日前)で3割前後変わります。宿は1泊2食の温泉旅館を1泊+駅前ホテル1泊に分けると総額が下がることも。2歳は航空券が膝上なら無料、宿も「添い寝無料」の宿を選べば宿泊費に乗りません。金額は時期・空席状況で大きく変動します。
県西部(米子・境港・大山)を回るプラン。羽田からは米子鬼太郎空港への直行便が使えます。花・妖怪・牧場と見た目のバリエーションが大きく、写真に変化が出るのがこの案の魅力。
直行便で約1時間20分。空港名のとおり、ロビーには鬼太郎たちがお出迎え。ここでレンタカーを借ります。
日本最大級のフラワーパーク。何ができる?=1周1kmの屋根つき展望回廊を歩く、直径50mの大温室、季節の花畑さんぽ、園内周遊バス「フラワートレイン」に乗車。9〜10月はダリアとコスモスが見ごろで、晴れれば背景に大山がきれいに入ります。(空港から車で約35分)

JR境港駅から約800m続く商店街。何ができる?=177体の妖怪ブロンズ像を探しながら歩く、妖怪スタンプラリー、鬼太郎の「目玉おやじ饅頭」や妖怪グッズの買い物、妖怪神社で参拝。像は道の両側にほぼ数メートルおきに置かれていて、歩くたびに「次は何がいる?」となります。
ロードの突きあたりにある記念館。2024年にリニューアルし、妖怪の世界に入り込む展示や大画面の映像コーナーがあります。何ができる?=妖怪の立体展示を見る、映像を眺める、水木しげるの仕事場の再現を見る。ロードを歩いた勢いでそのまま入れます。

境港と松江をむすぶ全長1.7kmの巨大な橋。CMで「ベタ踏み坂」として有名になった、遠くから見ると壁のように急に見える橋です。何ができる?=橋を車で渡る(実際の勾配は6.1%で、走ってみると意外にふつう)、離れた場所の撮影スポットから“壁に見える”写真を撮る。(水木しげるロードから車で約10分)

標高1,729mの大山のふもとに広がる牧場。何ができる?=広い芝生を走りまわる、牛を眺める、名物の濃厚ソフトクリーム、バター作り体験(要予約)。晴れれば大山と日本海を同時に見わたせます。(米子市街から車で約40分)
牧場から空港まで車で約50分。時間に余裕をもって出発を。空港では境港の干物や、鬼太郎グッズのおみやげが充実しています。
💰 圧縮のコツ:皆生温泉の1泊2食プランは宿代の主因。温泉旅館1泊+駅前ホテル1泊のミックスにすると2〜3万下がります。花回廊・記念館は未就学児無料なので、入場料は実質おとな2名分だけ。金額は時期と空席で大きく変動します。
県中部(倉吉・三朝)にしぼった、いちばんゆっくりのプラン。1日の移動は車で30分以内、観光は午前と午後に1つずつ。9月なら梨狩りという、この時期だけの体験が入ります。
直行便で約1時間20分。空港でレンタカーを借りて、倉吉方面へ(空港から車で約1時間)。米子鬼太郎空港からでも同じくらいの距離です。

世界で唯一の「梨」専門博物館。何ができる?=館内に立つ樹齢70年・枝を20mに広げた巨大な二十世紀梨の木を見上げる、3種類の梨の食べくらべ、梨のスイーツ。そのあと近隣の観光農園へ移動して梨狩り(9月上旬〜10月上旬が最盛期)。自分でもいで、その場でかじる梨は、店で買うものと明らかに味がちがいます。

開湯900年、三徳川ぞいの山あいの温泉地(なしっこ館から車で約20分)。何ができる?=宿の湯にゆっくり浸かる、浴衣で温泉街をそぞろ歩き、川沿いの河原風呂を眺める、射的や足湯。夜は川の音だけになる静かな町です。

国の重要伝統的建造物群保存地区。玉川という小さな川ぞいに、白い漆喰の壁と赤い石州瓦の土蔵が並び、川には一軒ごとに小さな石橋が架かっています。何ができる?=町並み散策、蔵を改装した「赤瓦」の店めぐり(和菓子・ガラス工芸・カフェ)、川の鯉を眺める。(三朝温泉から車で約15分)
白壁土蔵群のすぐ南にある、明治時代からの公園。何ができる?=広場を走る、小動物舎の動物を見る、木陰でおやつ。桜と紅葉の名所で、10月下旬からは木々が色づきはじめます。お昼寝のあとの1〜2時間にちょうどいい規模。
朝ゆっくりチェックアウトして、空港へ向かう道すがら道の駅へ。9〜10月はとれたての梨・新米・柿が驚くほど安く並びます。梨は自宅に発送もできるので、持ち帰りの荷物を増やさずに済みます。空港まで車で約1時間、余裕をもって出発を。
💰 圧縮のコツ:1泊2食の温泉旅館は1人2万円前後が相場で、ここが総額を左右します。三朝温泉1泊+倉吉のホテル1泊にすれば2〜3万下がり、夕食も自由に選べます。宿の食事はほぼ現地で完結するので、外食費は他案より少なめ。秋は宿が埋まりやすいので早めの予約を(金額は時期で変動します)。
秋の鳥取でしか手に入らないのは、裸足で歩ける砂丘です。真夏は熱くて素足では無理、真冬は風が強すぎる。9〜10月は砂がひんやりして風がやわらかく、2歳が思いきり転げまわれる、年に2か月だけの条件がそろいます。宿を動かさずに済み、雨なら砂の美術館とこどもの国に振り替えられる保険つき。味覚をとるなら「C・梨と温泉」(梨狩りは9月上旬〜10月上旬だけ)、写真に変化がほしいなら「B・妖怪と花と大山」。どの案でも、羽田から1時間20分という近さは変わりません。