飛行機に乗って、映画1本ぶんで着いてしまう。パンダもロープウェイも温泉も、屋台のごはんも。10月の台湾は、2歳と歩くのにちょうどいい気温と、ちょうどいい距離感でできています。
朝いちの便に乗れば、お昼には台北のホテルにいます。空港からのバスの窓に、看板の漢字がびっしり並んでいく。読めそうで読めない字を眺めているうちに、「あ、外国に来たな」と実感が追いついてくる——台湾のはじまりは、だいたいこんな感じです。
10月の台北は、朝晩に風がすっと涼しくなって、日中も汗だくにならない。動物園でキリンを見上げて、そのままロープウェイでお山の上へ。ゴンドラが揺れながら茶畑の上をすべっていくあいだ、子どもは窓に張りついたまま黙って外を見ている、あの時間。
夕方は温泉街をぶらぶらして、夜は屋台で葱油餅を半分こ。ベビーカーを押していると、屋台のおばちゃんが手を振ってくれたり、席を詰めてくれたり。子連れにやたらと優しい国です。「はじめての海外、台湾でよかったね」と、帰りの機内でたぶん言うことになります。
台湾は6〜9月が暑さと台風のピーク。それが10月に入ると台風シーズンが落ち着き、湿気が抜けて日中25℃前後の過ごしやすい日が増えます。11月にかけてが一年でいちばん歩きやすい季節。屋外の動物園・ロープウェイ・老街さんぽが、汗だくにならずに楽しめるのはこの時期ならでは。加えて夏休みが明けて航空券・ホテルが落ち着くのも、家族旅行には大きい。北部(台北)は秋に雨が増えるので、屋内のスポットを1つ混ぜておくのが小さな子連れのコツです。
台北のいいところは、子どもが喜ぶ場所がほぼMRT(地下鉄)でつながっていること。レンタカーも運転も要らず、乗り換えもシンプル。午前にお出かけ→午後はホテルでお昼寝→夕方また少し、というリズムがきれいに組めます。海外デビューにいちばん向く、王道の組み立て。
直行で約4時間。松山空港着ならMRTで市内まで15分ほど、桃園空港着ならMRTか空港バスで約50分。初日は市内をちょっと歩いて、早めにごはんと就寝。

MRT文湖線の終点・動物園駅を出てすぐ。アジア有数の広さで、ジャイアントパンダ館、コアラ、ゾウ、キリン、ペンギンまでひととおりそろいます。何ができる?=広い園内をベビーカーで流しながら、子どもが食いついた動物の前でだけ長居する、という贅沢な回り方。園内シャトルもあります。

動物園から歩いて数分の乗り場から出発。茶畑と台北の街を見下ろしながら、山の上の茶芸館エリア・猫空へ。何ができる?=床が透明のクリスタルキャビンに乗る、山上でお茶と点心の休憩、展望デッキから台北101を探す。

白い巨大な建物と、青い屋根の劇場・音楽ホールに囲まれた、だだっ広い広場。何ができる?=子どもを解放して走らせる、鳩を追いかける、毎正時の衛兵交代を見る、公園側の池で鯉を眺める。

中正紀念堂からMRTで約40分、台北市内から地下鉄で行ける温泉地。何ができる?=レトロな洋館の北投温泉博物館を見学、湯けむりの上がる地熱谷をのぞく、緑の公園をさんぽ。個室風呂のある宿なら日帰り入浴も。

新北投からMRTで約15分。台北最大級の夜市で、屋台がずらり。何ができる?=葱油餅・胡椒餅・大腸包小腸をつまむ、地下の美食区で座って食べる、射的や輪投げの小さなゲームコーナーをのぞく。
秋の台北は雨の日もあるので、1日は空けておくのが賢い。晴れたらもう一度公園へ、降ったらデパートや室内施設へ。おみやげはスーパーで買うと安くて実用的です。
💰 予算めやす:家族3人で22〜36万円。入場料と食費が日本より安いぶん、海外なのに国内旅行と大差ない水準に収まります。圧縮のコツは①LCC+松山/桃園の時間帯を選ぶ ②朝ごはんはホテル外の朝食店やコンビニで(1人200〜300円) ③移動をMRT+悠遊カードに寄せる(タクシーも安いので疲れた日は使う)。連休・旧正月・10月10日前後の連休は高騰します。
ホテルは台北に置いたまま、1日ずつ「ちょっと遠く」へ出かける組み立て。海沿いの町、奇岩の海岸、山あいの提灯の街——1時間ほど移動するだけで景色ががらりと変わるのが、台湾北部のおもしろさです。
到着後はホテル周辺だけ歩いて、悠遊カード(交通ICカード)を買っておくと翌日からがスムーズ。初日は無理をしない。

台北駅からMRT淡水線で終点まで約40分、そこから渡し船かバスで漁人碼頭へ。何ができる?=海沿いのウッドデッキをベビーカーでのんびり、渡し船に乗る、老街で魚のすり身団子やアイスをつまむ、夕日を見る。

台北から車・バスで約1時間20分。海に突き出した岬に、キノコのような奇岩がずらりと並ぶ景勝地。何ができる?=女王頭をはじめとする岩を探して歩く、潮だまりをのぞく、海を見ながらの散歩。

野柳から車で約1時間。山の斜面に細い石段の路地が張りめぐらされた、かつての金鉱の町。何ができる?=芋圓(タロイモ団子)のスイーツ、茶芸館で山と海を見下ろしながらお茶、夕暮れに提灯が灯る瞬間を待つ。
野柳と九份はバスの乗り継ぎが必要で、子連れには待ち時間がつらい区間。1日チャーター(日本語ドライバーつきで1台15,000〜25,000円前後)にすると、荷物を車に置いたまま回れて、子どもは車内で昼寝もできます。3人なら結果的に割安になることも。
遠出のあとは市内で。公園や大きな書店、デパートの子ども階など、屋内でも過ごせる場所を持っておくと雨の日も困りません。
💰 予算めやす:家族3人で25〜42万円。Aプランとの差はほぼチャーター車と1泊ぶんです。圧縮のコツは、野柳をあきらめて九份だけにしてバス+タクシーで行く(1日1万円ほど浮きます)。金額は時期・便によって大きく動くので、予約前に必ず最新をご確認ください。
台湾は南北に細長い島。新幹線(高鐵)に乗れば、台北から台中まで約50分、高雄まで約1時間40分。北がぐずついても南は晴れていることが多く、10月の南台湾は日中28℃前後のあたたかさです。乗り物が好きな子なら、移動そのものがイベントになります。
初日は台北駅周辺に泊まって、翌朝そのまま高鐵へ。空港から直接高鐵に乗ることもできますが、初日は無理をしないほうが結果的にラクです。

日本の新幹線技術がベースの高速鉄道。何ができる?=ホームで発車を見送る、車窓の田んぼと山を眺める、駅弁(排骨弁当)を食べる。台北→台中は約50分、そのまま高雄まで行っても約1時間40分。

台中駅からタクシーで約15分。台湾を代表する科学博物館で、動く恐竜、巨大な鯨の骨格、熱帯雨林を再現した温室植物園まで、屋内だけで半日過ごせます。何ができる?=恐竜の前で固まる、子ども向けの体験展示で遊ぶ、温室のジャングルを歩く。

博物館から車で約30分。取り壊されるはずだった元軍人村を、住人のおじいさんが一人で塗り尽くして残した小さな集落。何ができる?=壁も床も天井もカラフルな路地を歩く、絵の前で写真を撮る。

台中から高鐵で約1時間、左營駅からタクシーで10分ほど。池のほとりに極彩色の塔や廟がならぶ高雄名物。何ができる?=龍の口から入って虎の口から出る(縁起がいいとされます)、池のまわりを散歩、大きな神像を見上げる。
港の古い倉庫群を再生したアート地区。何ができる?=広い芝生と線路跡の遊歩道をのんびり歩く、巨大なアート作品の間を走り回る、区内のミニ列車に乗る、鉄道をテーマにした展示館をのぞく。海沿いなので風が気持ちいいエリアです。
朝ごはんを外の朝食店で食べて、公園へ。午後は暑ければホテルで昼寝。夜は六合夜市か瑞豊夜市へ、早い時間に。移動を減らす日をはさむと、旅の後半まで体力が持ちます。
高鐵で台北へ戻り、そのまま空港へ。高雄国際空港から日本への直行便がある日程なら、北上せずそのまま帰る手もあります(便の有無は要確認)。
💰 予算めやす:家族3人で27〜44万円。高鐵代と宿1泊ぶんがAプランより上乗せされます。圧縮のコツは①高鐵はネット早割(最大35%オフ)を28日前から狙う ②台中を省いて台北→高雄の直行にすると宿も交通費も1回ぶん減る ③南部は物価がさらに安く、食費は台北より抑えられます。価格・時刻は変動するので予約前に公式で最新をご確認ください。
10月の台北は、動物園もロープウェイも温泉街も、汗をかかずに歩ける唯一の季節。しかも移動がすべてMRT一本で完結するので、2歳のお昼寝のタイミングでいつでもホテルに戻れます。景色も見たいなら「B・近郊さんぽ」——ただし九份は抱っこ紐前提。電車が好きな子なら「C・高鐵で南へ」で、秋の北部の雨を避けて南のあたたかさへ。どれを選んでも、飛行機はたった4時間です。