雨季が明けて空が高くなる、一年でいちばん気持ちのいい季節。金色の寺、川を流れる灯篭、屋台のいい匂い。子どもにやたら甘い国だから、2歳連れでも肩の力が抜けます。
空港を出た瞬間の、あの甘くて少し埃っぽい空気。11月のバンコクはそこに乾いた風が混じって、思っていたよりずっと過ごしやすい。トゥクトゥクが横をすり抜けていくたび、2歳は目を丸くして「ぶーぶー!」と指をさします。
朝いちばんの寺は人が少なくて、金色の仏塔が朝日に光る。境内をはだしでぺたぺた歩くのが楽しいらしく、こちらの見学はさっぱり進みません。昼は屋台のカオマンガイを取り分けて、辛くないものだけ選べば子どももぺろり。午後は暑くなるからホテルに戻ってお昼寝——このリズムさえ守れば、タイは驚くほど子連れに優しい国です。
そして11月は、灯りの季節。満月の夜、川面にろうそくを灯した灯篭が流れ、北のチェンマイでは無数のランタンが空へのぼっていく。抱っこされたまま、ぽかんと口を開けて見上げる背中。たぶんこの子は覚えていないけれど、こちらは一生忘れないやつです。
タイの雨季は5〜10月。11月に入ると乾季がはじまり、雨がぐっと減って湿度も下がります。バンコクの11月は日中30℃前後・朝晩は25℃くらいで、真夏(4月は40℃近い)とは別世界。チェンマイはさらに涼しく、朝は羽織りものがほしいほどです。
さらに11月の満月の夜は「ローイクラトン」(灯篭流し)。同じ時期にチェンマイでは「イーペン」としてランタンを空に上げる行事もあり、一年で最も絵になる夜が来ます。※2026年の開催日は太陰暦で決まるため、旅程を決める前に必ず最新の日程をご確認ください。
バンコクから国内線で1時間ちょっと。標高が高く11月は朝晩20℃前後まで下がるので、2歳連れには圧倒的に過ごしやすい。街はコンパクトで移動が短く、ゾウの保護施設や山の上のお寺など「子どもがちゃんと喜ぶもの」が揃っています。灯りの行事があるならここ一択。
直行便で約6〜7時間、時差は2時間だけ。この日は無理に動かず、空港周辺かスクンビットのホテルへ。翌朝の国内線に備えます。
朝の便で北へ。チェンマイ空港から市内まで車で約15分と近く、着いたその日から動けます。

旧市街の真ん中にそびえる、崩れかけの巨大な仏塔。かつて80m以上あったものが地震で上部を失い、その姿のまま残っています。何ができる?=広い境内を歩く、ゾウの彫刻さがし、僧侶と話せる「モンク・チャット」の見学。

市内から車で約1時間〜1時間半。近年のチェンマイは「乗らない・使役しない」保護型の施設が主流で、えさやりや水浴びの見学が中心です。何ができる?=バナナやスイカを手渡し、川で水浴びするゾウを間近で見る、放牧地をのんびり散歩。

市街から車で約40分、山道を登った標高1,000mあまりの場所にある、チェンマイでいちばん有名なお寺。金色の仏塔がまぶしく、テラスからは街が一望できます。何ができる?=金の仏塔をぐるり一周、鐘を鳴らして歩く、展望テラスから街を見下ろす。

ピン川のほとりで、ろうそくを灯した灯篭(クラトン)を流す一年でいちばん美しい夜。街の各所ではランタンが空へのぼり、旧市街はパレードや屋台でお祭りムードになります。何ができる?=灯篭を買って川に流す、屋台をひやかす、空を見上げる。
ニマンヘミンのカフェでのんびりしたり、公園で遊んだり。天気と体調に合わせて調整できる日を1日残しておくと、子連れは本当にラクです。帰りはバンコク乗り継ぎか、チェンマイ発の便で。
💰 予算めやす:家族3人で25〜44万円。圧縮のコツ=①灯りの行事の週は航空券・宿とも高騰するので、行事の直前直後にずらすと2〜3割安い ②宿は1泊1万円台でもプール付きが選べる ③食事は屋台・フードコート中心なら1食1人200〜400円。金額は時期・為替で大きく変動します。
拠点はバンコク1か所だけ。街なかの移動は電車とボートで完結し、アユタヤも日帰りで足せます。はじめてのタイで「王道をひととおり」なら、これがいちばん効率よく、荷物の移動もありません。
空港から市内までは車で約40分〜1時間(渋滞時はもっと)。初日は近所で軽く食べて休みます。

全長46m・高さ15mの巨大な寝釈迦仏で有名なお寺。屋内なので日差しを避けられます。何ができる?=でかい仏像に圧倒される、足の裏の螺鈿細工を見る、108個の壺にコインを落として歩く。

ワット・ポーから徒歩約10分。タイでもっとも格式の高い寺と王宮が同じ敷地に。何ができる?=金・ガラスモザイクで覆われた建物群を見る、鬼の像(ヤック)や猿の像さがし。

ワット・ポーの船着場から渡し船で約5分(数十円)。陶器のかけらで装飾された高さ約70mの塔が、夕日を浴びて色を変えます。何ができる?=川を渡る船に乗る、対岸から塔と夕焼けを眺める。

バンコクから車で約1時間半(鉄道なら約1時間半〜2時間)。1350年から400年続いた王朝の都で、レンガの塔と仏像が広い公園に点在する世界遺産です。何ができる?=遺跡のあいだを歩く、木の根に取り込まれた仏頭を見る、公園でのびのび走る。
大型モールの屋内プレイエリアや、緑の多い公園で遊んで最終日を調整。夜便なら夕方までゆっくりできます。
💰 予算めやす:家族3人で21〜39万円。圧縮のコツ=①移動が国内線なしのぶん、3案でいちばん安く上がる ②BTS・MRTは1人数十円〜、タクシーも初乗り約150円 ③朝食はホテル外の食堂やコンビニで十分。金額は時期・為替で変動します。
タイのビーチというとプーケットやサムイですが、11月はまだ雨が残りがち。バンコクから車で約3時間で行けるホアヒンなら、飛行機の乗り継ぎなしで海に出られます。王室の別荘地として整備された落ち着いた町で、騒がしいリゾートが苦手な家族向き。
この日は移動だけ。翌日の水上マーケットに備えて早めに休みます。

バンコクから車で約1時間半、ホアヒンへの通り道にあります。運河に小舟がぎっしり並び、舟の上から果物や麺を売る風景はタイらしさの塊。何ができる?=手こぎ舟に乗って運河をめぐる、舟から果物を買う。
水上マーケットからホアヒンまでは車で約1時間半。子どもが車内で昼寝するちょうどいい距離です。
遠浅でおだやかな砂浜。朝と夕方の涼しい時間に海へ出て、日中はホテルで過ごすのが現実的なリズムです。
赤と白の木造駅舎に、王室専用の待合室が残るタイで最も美しいと言われる駅。町の中心から車で5〜10分。何ができる?=駅舎を眺めて写真、ホームで本物の列車を見る。
日が落ちてから町の中心が動き出します。屋台と食堂が並び、辛くない料理(チャーハン、焼き鳥、フルーツ)も豊富。
最終日の移動を短くするため、空港近くで1泊足しても。夜便なら当日移動でも間に合います。
💰 予算めやす:家族3人で24〜44万円。圧縮のコツ=①バンコク〜ホアヒンはバン(乗合ミニバス)なら1人数百円、チャーター車でも1万円前後 ②リゾートは平日泊だと2〜3割安い ③食事はリゾート外の食堂に出るだけで半額以下に。金額は時期・為替で変動します。
11月のチェンマイは涼しく、街が小さくて移動が短く、ゾウにも会える。そして何より、灯篭とランタンの夜はこの時期にしか成立しません。王道をひととおり見るなら「B・バンコクとアユタヤ」(3案でいちばん安く、移動も最小)、のんびり寄りなら「C・ホアヒン」。灯りの行事に合わせるなら、宿と航空券は早めの確保を。