羽田から2時間弱で、日本でいちばん広い火山のカルデラに立てる。ススキの草原、湯けむりの温泉街、お城の大銀杏。2歳の「ひろーい!」がいちばん似合う季節に。
熊本空港を出て車で走ること50分。トンネルを抜けた先で、いきなり視界がひらけます。見渡すかぎりの草原、そのむこうに阿蘇五岳のぎざぎざした稜線。10月の草千里はススキが風でいっせいに揺れて、日なたの草がきんいろに光る。ベビーカーを降りた2歳は、その広さにしばらく黙って立ちつくし、それから急に走り出します。転んでも草。いくらでも走らせておける場所です。
山を下りれば、黒川温泉の石畳と湯けむり。市内に戻れば、復旧が進んだ熊本城の天守と、11月なら黄色く色づく大銀杏。海のほうへ足をのばせば、天草でイルカに会える。ひとつの県のなかに「草原・温泉・お城・海」が全部ある、そんな欲ばりな旅ができるのが熊本です。
ごはんもうれしい。あか牛のハンバーグ、太平燕(タイピーエン)のやさしいスープ、阿蘇のジャージー牛乳ソフト。辛子れんこんは大人のおつまみに。夜は温泉であたたまって、朝は雲海。秋の熊本は、2歳連れがいちばん動きやすい気候と、大人がいちばん息を抜ける景色が、同時にそろう時期です。
阿蘇の草原は10月がススキの見ごろ。空気が澄んで、大観峰の雲海は秋の早朝がいちばん出やすい季節です。11月に入ると菊池渓谷・鍋ヶ滝まわりの紅葉、そして熊本城の大銀杏(11月中〜下旬)が色づきます。日中の気温は15〜20℃前後で、2歳を屋外で長く遊ばせても暑さ・寒さの心配が少ない。9月までの台風シーズンも過ぎて、飛行機の欠航リスクも下がります。天草では新ミカン、阿蘇では新米と、食も秋がいちばん。夜は冷えるので、温泉との相性も最高です。
熊本市で1泊してお城と動物園、阿蘇で1泊して草原とクマの動物園。「街」と「山」を1泊ずつに分けるので、1日の運転は1時間前後に収まります。はじめての熊本で外したくない景色を、2歳のペースで無理なくまわる組み立てです。
朝いちの便なら10時前に熊本着。空港でレンタカーを借りて市内へ(車で約45分)。お昼は市内で太平燕(タイピーエン)。春雨スープなので2歳も食べやすい。

2016年の地震から復旧した天守は、中がエレベーター付きの展示館になっていてベビーカーでも登れます。何ができる?=空中回廊のような「特別見学通路」から石垣の修復現場を見下ろす、天守最上階から市街と阿蘇を一望、広場でかけっこ。11月中〜下旬なら二の丸広場の大銀杏が黄金色に。
熊本城から市内中心部のホテルは車で10分ほど。夕食は「あか牛ハンバーグ」が子連れに人気。からし蓮根と球磨焼酎は大人のお楽しみ。

市内から車で約20分。江津湖のそばにある動物園+植物園+小さな遊園地で、入園料が大人300円と驚くほど安い。何ができる?=ゾウ・キリン・レッサーパンダの観察、ふれあい広場でモルモット、園内の観覧車やメリーゴーラウンド(1回100〜200円)。

動物園から阿蘇の草千里までは車で約1時間10分。昼寝は移動中にすませます。着いたら、直径約1kmの草原に放牧された馬がのんびり草を食んでいる、あの風景。何ができる?=草原をひたすら歩く、乗馬体験(大人と一緒に引き馬)、隣の阿蘇火山博物館で火口のライブ映像。展望所のレストハウスであか牛丼とジャージーソフト。
草千里から阿蘇市街・内牧温泉の宿までは車で約30分。温泉に入って早めに就寝。夜は星がよく見えます。

阿蘇の宿から車で10〜15分。クマ牧場から始まった動物園で、小動物のふれあいが充実。何ができる?=ウサギ・モルモット・ヤギを抱っこ、動物のショー、ミニブタやカピバラ、園内を走るトレイン。坂が多いので園内バスも活用を。
空港でレンタカー返却。15〜17時台の便なら余裕をもって帰れます。空港内で馬刺し・いきなり団子など土産購入。
💰 予算めやす:家族で10〜16万円(時期・宿で変動)。ソラシドエアや早割で航空券を4万円台に抑えると10万円ラインに乗ります。11月の3連休は高くなるので、平日を1日はさむのがコツ。3歳未満は膝上なら航空券ほぼ無料。
空港から北阿蘇へまっすぐ入り、黒川温泉を拠点に2泊。ひとつの宿に連泊して荷物をほどき、日中は車で30分圏内の絶景をひとつずつ。観光を詰めこまず、温泉と昼寝を軸にする「大人がいちばん休まる」プランです。
空港でレンタカーを借りて阿蘇市の中心・宮地へ(車で約50分)。ミルクロードのドライブがすでに絶景です。

地震で倒壊した楼門(日本三大楼門のひとつ)が2023年に建て直され、以前の姿に戻りました。何ができる?=参拝、門前町の「水基(みずき)めぐり」で湧き水を飲み歩き、名物の「馬ロッケ」や「たのシュー」を食べ歩き。境内は平坦で、ベビーカーのまま回れます。

阿蘇神社から黒川温泉までは車で約40分(昼寝タイム)。チェックイン後、石畳の温泉街を散歩。何ができる?=入湯手形(3か所の露天風呂に入れる木札)で湯めぐり、川辺の足湯、お団子とプリンのおやつ。夕食は宿で山の幸。
黒川温泉から車で約35分。阿蘇カルデラをぐるりと囲む外輪山のてっぺんで、眼下に町と田んぼ、正面に「涅槃像」に見える阿蘇五岳。何ができる?=秋の早朝なら雲海がカルデラを満たす光景、駐車場から徒歩5分で展望台、売店の温かいコーヒー。

黒川温泉から車で約20分(大観峰からは約40分)。幅20mのカーテンのような滝の裏側に歩いて入れる、珍しい滝です。何ができる?=滝の裏から水のカーテン越しに光を見る、川辺で石ころ遊び。11月は周囲の木が色づきます。
午後は予定を入れず、宿で昼寝と温泉。夕方に温泉街をもう一周して、まだ入っていない露天へ。時間があれば阿蘇ミルク牧場(車で約40分)で牛の乳しぼりを。
朝湯のあとゆっくりチェックアウト。空港まで車で約1時間20分。途中、大津町や阿蘇の道の駅で野菜と新米をおみやげに。午後の便で帰京。
💰 予算めやす:温泉旅館の2食付は宿代が上がり家族で12〜20万円。連泊割・平日泊、または1泊を阿蘇市内のビジネスホテルに替えると13万円前後に。紅葉ピークの11月中旬の週末は早めに予約を。
熊本市で1泊、天草で1泊。橋でつながった島々を渡って、野生のイルカが暮らす海へ。秋は海が穏やかで船に乗りやすく、新ミカンの季節でもあります。「熊本=阿蘇」のイメージをひっくり返す、海の熊本です。
空港でレンタカーを借りて市内へ。お昼は市内で。天草へ入る前に、市内で1泊して移動を分けます。

細川家の庭園。阿蘇の伏流水が湧く池のまわりに、東海道五十三次を模した築山が並びます。何ができる?=池のコイに餌やり、芝生の築山をよちよち歩き、園内の茶屋で抹茶とお団子。市内中心部から車で15分、路面電車でも行けます。
夕食は市内でだご汁や太平燕。翌日は朝から天草へ向かうので、早めに休みます。
熊本市から天草の北端・二江港までは車で約2時間(途中の天草五橋と海景色で飽きません。昼寝は車で)。港から船で10〜15分沖に出ると、船のすぐ横をイルカの群れが泳ぎます。何ができる?=約1時間のクルーズ、船べりからイルカのジャンプを見る、港の食堂で海鮮丼。

二江港から車で約1時間(昼寝タイム)。入り江に漁師の家がぎっしり並び、その真ん中にゴシック様式の教会が立つ、不思議な景色。何ができる?=集落の細い路地「トウヤ」を歩く、海に張り出した「カケ」から魚をのぞく、教会を見学(内部は畳敷き)、集落のガイダンスセンターでひと休み。
﨑津から下田温泉までは車で約30分、本渡(天草市中心)へも約40分。夕日の名所・下田温泉なら、宿の窓から東シナ海に沈む夕日を。

朝は宿の周りをのんびり。天草空港から熊本空港への直行便はないので、車で熊本空港へ戻ります(本渡から約2時間)。途中の道の駅でミカンと海産物をおみやげに。夕方の便で帰京。時間に余裕があれば、三角西港の石畳の埠頭(車で途中)に寄り道も。
💰 予算めやす:家族で11〜18万円。イルカウォッチングは大人1人3,000円前後、幼児は無料〜半額の業者が多い。レンタカーの走行距離が長めなので、ガソリン代は5,000円ほど見ておくと安心。
お城・動物園・きんいろの草原・クマとのふれあいを、1日1時間以内の運転で回れる。2歳にとっては「毎日どうぶつ」、大人にとっては阿蘇の絶景。温泉でゆるみたいなら「B・黒川温泉」、海と船が好きなら「C・天草のイルカ」。この時期にとくにおすすめなのは、10月中〜下旬の平日にススキの草千里と大観峰の雲海を狙うこと。紅葉と大銀杏まで欲ばるなら11月中旬です。