10〜11月のハノイは、一年でいちばん気持ちのいい季節。湿気が抜けてカラッと涼しく、街路樹の花が香ります。湖のほとりを歩き、舟に揺られ、海の絶景まで。2歳と歩く、はじめてのベトナム。
朝7時。ホアンキエム湖のまわりを、おじいちゃんおばあちゃんが太極拳をしている。気温は20度そこそこ、長袖1枚でちょうどいい。ベビーカーを押しながら湖を一周すると、赤い橋の向こうに小さな塔が浮かんでいて、2歳の子が「おうち!」と指をさす。ハノイの朝は、そんなふうにゆるく始まります。
ハノイの秋は、地元の人が「一年でいちばん好き」と口をそろえる季節。夏のむわっとした暑さが去って、空は高く、空気はさらり。街路樹のミルクフラワー(ホアスア)が甘く香り、屋台では新米のもち米菓子「コム」が売られる。日本人にとっては「いつまでも歩いていられる」体感です。
ローカル食堂のフォーは朝から湯気を立てていて、麺はやわらかく、スープは薄味。2歳の取り分けにちょうどいい。カフェは子どもに寛容で、店員さんがあやしてくれることもしょっちゅう。ちょっと足をのばせば、水墨画のような岩山の間を手漕ぎ舟でゆく田園、そして世界遺産のハロン湾。「近くて、安くて、やさしい」。そんなアジアの秋旅に出てみませんか。
ハノイは10〜11月が乾季の入り口。日中20〜27度・朝晩は15度前後で、湿度が下がり、雨もぐっと少なくなります(夏は35度超+スコール、12〜2月は曇天で冷え込む)。屋外を歩き回る子連れには、この2か月がいちばん快適。ハロン湾も秋は霧が少なく海が穏やかで、クルーズの当たり率が高い時期。稲刈りを終えたニンビンの田園も空気が澄み、舟遊びが気持ちいい。日本の連休を外せば航空券も落ち着いています。
旧市街の徒歩圏に見どころが集まるハノイをベースに、1日だけハロン湾へ。移動は「歩き+タクシー(配車アプリ)」で完結し、レンタカー不要。午前お出かけ、午後はホテルで昼寝、夕方は湖畔さんぽ、という2歳に優しいリズムで回せます。
直行で約5.5〜6時間(ANA・JAL・ベトナム航空)。空港から市内は車で約40〜50分。ホテルに荷物を置いたら、夕暮れの湖畔を一周して、近くの食堂で初フォー。

「剣を返した湖」という伝説をもつハノイのシンボル。朝は地元の人の体操やバドミントンでにぎわい、赤いテーフック橋を渡ると小島の玉山祠(ゴックソン祠)へ。何ができる?=湖一周さんぽ(約30分)、赤い橋で記念写真、祠で大きなカメの剥製を見る。
湖の北東角、徒歩すぐ。水を張った舞台で人形が泳ぎ、龍が火を吹き、生演奏が鳴る。言葉はいらない約50分。何ができる?=ベトナム伝統の生演奏と人形劇を間近で。昼寝後の15時台か、夕方の回がねらい目。

ハノイから高速道路で約2.5時間。ホテル送迎つきの日帰りツアーが多数あり、4〜6時間の船上で、奇岩の間をぬい、鍾乳洞(ティエンクン洞など)を歩き、船上でシーフードランチ。何ができる?=デッキで絶景、洞窟探検、小舟(手漕ぎ)体験も。

湖から車で約10分。11世紀創建の孔子廟で、ベトナム最初の大学。5つの中庭が連なり、池と大木、亀の背に乗った石碑がずらり。何ができる?=広い庭を歩く、石の亀を数える、卒業写真を撮る学生さんの華やかなアオザイを眺める。
昼寝のあと、通りごとに扱う品が違う職人街を、ゆっくり流す。銀の通り、竹の通り、おもちゃの通り。大教会前はカフェ密集地で、レモンティー片手にひと休み。何ができる?=ベトナムコーヒー豆・刺しゅう小物・ラタンかご探し、路上のバインミー。
天気や体調しだいで、もう一度湖畔へ、あるいはホテルのプールで。昼過ぎの便なら午前はカフェでゆっくり。空港へは車で約45分。
💰 予算めやす:家族3人(2歳は座席なし幼児運賃)で22〜38万円。航空券は連休を外し2〜3か月前に押さえると下がる。ベトナムは食が安く(フォー1杯300〜500円)、現地費は日本より軽め。宿でグレードを決めるイメージ。
ハノイから車で約2時間、岩山と川と田んぼが織りなす世界遺産チャンアン。手漕ぎ舟でゆっくり洞窟をくぐる時間は、大人も2歳も同じ速度で息をつける、この旅いちばんの静けさ。ハノイ2泊+ニンビン2泊の組み立てです。
まずはハノイに2泊。湖畔さんぽと水上人形劇で街に慣れる(Aプラン参照)。ハノイの宿は湖周辺に。
ホテル手配の専用車(約2時間)か、リムジンバス(約2.5時間)。荷物ごと宿へ入り、昼食後に舟へ。

船頭さんが足で漕ぐ小舟に家族で乗り、岩山と洞窟をめぐる約2〜3時間。ルートは3つあり、洞窟が多い順路と寺が多い順路が選べます。何ができる?=洞窟くぐり(天井すれすれ)、水面に映る岩山、途中の小さな寺で休憩。

チャンアンより素朴な舟遊びが楽しめるタムコック。田んぼの間を流れる川を、3つの洞窟をくぐって往復約1.5時間。すぐ近くのビックドン(碧洞)は岩山にへばりつく3層の山寺。何ができる?=舟遊び、山寺の石段を少し登って田園を見渡す、自転車で田んぼ道をぐるり。
10世紀の都の跡(車で約20分)。2つの廟と城門が静かに残り、広い芝生を歩くだけでも気持ちいい。無理せず夕方は宿のテラスで、田んぼに沈む夕日を眺めるだけでも十分な1日。
ニンビンから空港へは直行で約2.5時間。午後便なら朝に舟をもう一度、というのも。専用車を前日に手配しておくと安心。
💰 予算めやす:Aに専用車代(片道1万円前後)が乗るぶん少し上。ニンビンのリゾートは1泊1〜2万円で広い部屋が取れ、コスパは良好。舟代は1艘あたりで家族まとめて数千円。
長距離移動をいっさい入れず、ハノイ市内だけで4泊。朝はフォー、午前に1か所、午後はプールと昼寝、夕方は湖畔かカフェ。「暮らすように」過ごすと、この街の親切さがいちばんよく見えてきます。子どもの体調に合わせて予定を入れ替えやすいのも利点。
チェックイン後、夕暮れの湖畔へ。初日はこれで十分。

湖から車で約20分。ベトナム54民族の暮らしを紹介する博物館で、目玉は広い庭に建つ実物大の伝統家屋。高床式の家や、屋根の高いバナール族の集会所に実際に上がれる。何ができる?=家屋探検、庭でお散歩、週末は屋外の水上人形劇も(要確認)。

広い芝生の広場と、白い衛兵の交代式。廟の中に入らなくても、広場の外周を歩くだけで雰囲気は十分。裏手には黄色いホーチミンの家と、蓮の池に立つ一柱寺。何ができる?=衛兵交代の見学、広場さんぽ、一柱寺の写真。

広場から徒歩約10分。11世紀から続いた都の城跡で、世界文化遺産。大きな門、旗の塔、発掘現場と、広くて平らな敷地をぶらぶら。何ができる?=門の上に登る、広場でかけっこ、秋はアオザイの撮影会にも出会える。

市内から車で約30〜40分。600年以上続くやきものの村で、通りは器の店だらけ。工房では絵付けや手びねり体験ができ、その場で焼いて持ち帰れる店も。何ができる?=親子で絵付け体験、青と白のバッチャン焼きをおみやげに、村の食堂でランチ。
最後の朝もフォーで。ホテルのレイトチェックアウトを頼んで、昼寝をしてから空港へ。
💰 予算めやす:ツアー代がかからないぶん3案でいちばん軽い。配車アプリ(Grab)の市内移動は1回200〜500円で、車移動が積み重なっても現地費は抑えられます。
宿はハノイに固定したまま、湖・人形劇・古い学び舎と世界遺産の海を一度に。秋はハロン湾がいちばん穏やかで澄む季節で、日帰りクルーズの当たり率が高い時期です。静けさ重視なら「B・ニンビン」、移動を最小にしたいなら「C・ハノイ滞在」。この時期にとくにおすすめの過ごし方は、朝の湖畔さんぽとフォー。長袖1枚で歩ける涼しさは、10〜11月だけの贈りものです。